2024/12/03
お世話になっております。Uです。
自分の好きな漫画家に松井優征先生が居ます。デビュー作『魔人探偵脳嚙ネウロ』がヒット、次作の『暗殺教室』も大ヒット、現在は『逃げ上手の若君』が絶賛アニメ放送中の大人気作家です。
上記で挙げた3作はいずれも長期連載となっており、これは「少年ジャンプで初連載から3作品が連続10巻以上達成」というジャンプ史上でも唯一の記録だそうです。個人的には無闇に連載を引き延ばし過ぎず、20巻程度で物語を完結させている点も素晴らしいと感じます。
そんな松井先生がかつてインタビューで述べていた「漫画の防御力」という考え方がとても含蓄深く仕事にも有用だと思っているのでここで紹介させていただきます!
https://jump-manga-school.hatenablog.com/entry/06
防御力が高い=読者コストが小さい≒認知負荷が小さい=良いデザイン
上述のインタビューで松井先生は「面白さ=読者が得るメリット-読者が支払うコスト」と定義し、その上でメリットを大きくすることは難しいが、一方でコストを削減するのは工夫次第で可能である、としています。
この考え方はUXやUIの評価の考え方とほぼ同じに思えます。
あるアプリやWebサービスが「使いやすいなぁ」と感じるなら「利用したメリット」が「支払ったコスト」を上回っているはず。メリットをどのぐらい評価するのかはユーザーの好みに左右されますが、コストについてはユーザーに左右されず共通した要素で評価されます。
「良いデザイン」というと派手なアニメーションが実装されていたり鮮やかな配色がなされてることをイメージする人もいるかと思います。もちろん、派手なアニメーションが「攻撃力」として必要な場面もありますが、デザイナー側目線の「良いデザイン」は上記で言うところの「防御力が高いデザイン」を指していることが多い印象です。
どんなにイケてるアニメーションを実装しても、肝心なコンテンツ部分で整列やジャンプ率がめちゃくちゃだったり、グループ化が不適切だと使ってもらえません。
また、アプリやWebサイトなどの画面デザインに限らず、普段の仕事のさまざまな場面で防御力は存在すると思います。
例えばビジネスメール。漢字が続くような場合は一部をひらがなに直して見やすくするだとか。意味合いが変わる箇所でちゃんと段落分けするだとか。どうしても連絡事項が多くなってしまう場合は最初に個数を宣言して、番号振って確認依頼する、だとか。
そういう細かい気遣いをするとき、ちょっとずつ防御力が上がっていると思います。
防御力は他人から盗める
途中に記載してある「防御力は他人から盗める」というのも、デザインと似ている点だなと思います。
トレンドはあるものの、デザインにはある程度「この内容を見せるならこのデザインが正解」といったものがあります。これは、奇抜なデザインを採用するよりも、見慣れたデザインを採用する方が使い手の認知負荷を抑えることができるからです。
日付を入力するようなフォームがあったら、たぶん自由入力やドロップダウンではなく、素直にカレンダーから選べる方がありがたいですよね。
逆に「なんか使いづらいな……」と思ったデザインを見つけたときはチャンスです。「自分だったらどういうデザインにするだろう」と少し考えるだけで防御力が上がるはず。
ビジネスメールで同じ例えをするならどんなかんじでしょう。個人的な好みですが、冒頭や文末で「いよいよ夏本番ですがいかがお過ごしでしょうか」なんてわざわざ時候の挨拶をするぐらいなら、「いつもお世話になっております」と定型文を送った方が本題に集中できる気がします……あくまで個人的な好みですが……!
防御力は気遣い≒デザインは気遣い
もうそのままなんですが、インタビュー最後に「お客様の負担を少しでも減らそうとするのは漫画家に限らず商売人の誠意であり、気遣い」としています。
いやもう本当にその通りでしかなくて。先回りした気遣いの積み重ねが、商売人としての信頼に繋がるのです……!
丁寧にホウレンソウしたり、スケジュール通りに進捗出してくれるだけで、マネージャーやディレクターとしては非常にありがたい存在に思えます。むしろ攻撃力より防御力がしっかりしている人の方が重宝される場面もあるでしょう。
誠実な連絡を少しずつ攻撃の機会をうかがっていきましょう……!
松井先生の作品はいいぞ!
そんなわけで、こんなに地に足ついた商売人であるところの松井先生の作品は非常にオススメである、ということをお伝えしたかった次第です。アニメ『逃げ上手の若君』は絶賛放送中。みなさんぜひご覧ください。