2025/01/15
こんにちは。リーダーのKです。
クラウド環境による構築がだいぶ増えてきており、
オンプレでの環境整備やらなにやらという機会が減っているように感じております。
ただ、初学者や検証環境を検討するとなると、電気代だけで構築テストができるオンプレ環境も欲しくなるところです。
そのため、今回はそれぞれの技術がどれくらいの要求スペックを求め、
それに対して手が届きやすい範囲でどのくらいの性能のPCが利用できそうかを考えてみました。
1.要求性能の表示と規模感の検討
まずは要求性能について列挙し、現状主要な仮想化機能搭載OS、法人向けOSがどの程度リソースを使用するのか、仮想マシンとして仮にリソース使用量を確認します。
項目 | Windows Server (Hyper-V運用) |
VMware ESXi | VMware vCenter Server | Nutanix CE | 仮想マシン(各仮想化ソリューション |
CPUコア数 | 2コア以上+仮想マシン向けCPUコア割当 | 2コア以上+仮想マシン向けCPUコア割当 | 2コア以上(VMware ESXi上で稼働想定) | 4コア以上(Intel VT-xサポートCPU)+仮想マシン向けCPUコア割当 | 2コア |
メモリ搭載量 | 2GB以上+仮想マシン向けメモリ | 8GB以上+仮想マシン向けメモリ | 14GB以上(VMware ESXi上で稼働想定) | 16GB以上(仮想マシン稼働には32GB以上欲しい) | 4GB |
ストレージ使用量 | 50GB以上+仮想マシン向けストレージ | 32GB(起動ディスク)+仮想マシン向けストレージ | 579GB以上(シンプロビジョニングで構築した場合実使用量のみ消費される) | 200GB以上のSSDおよび 500GB以上のHDD |
50GB~100GB (シンプロビジョニングで構築を前提とし、実容量のみ使用する想定) |
ネットワーク | 1Gbps以上のイーサネットアダプタx1 | 1Gbps以上のイーサネットアダプタx1 | – | Intel イーサネットアダプタx1 | ネットワークアダプタx1 |
これら要求性能を見ると、Nutanix CEはともかくとして
それ以外の仮想化技術を使用した場合、特にメーカ制約はなさそうです。
仮想化自体はIntel VT-x、AMD-VにCPUが対応していれば動作します。
なお、ホストサーバ2台以上で実施する冗長化機能については、CPUメーカを合わせる縛りがありますので注意したいところです。
これら要求性能が示されたので、ここで今回中古で売ってるPCなどを転用して仮想化環境検証向けで使える性能がどれくらいかを考えます。
(1)ミニマムの場合
ミニマム性能の場合、Windows Serverは単独運用でき、かつHyper-Vで1,2台程度の仮想マシンを動かせる程度かなと考えました。
VMware ESXiの場合、vCenter Serverはデプロイできないが、ESXi単体で1、2台くらい動かせる程度、
Nutanix CEの場合はCE単体で動かせる程度を想定します。
(2)ミドルの場合
ミドル性能の場合、Windows ServerをHyper-V上に構築し、さらにその上にHyper-Vを構築できる多重仮想化(Nested)ができる性能、
VMware ESXiならESXi上にESXiを2台構築し(Nested)、ESXiのシミュレートを実施する、あるいはvCenter Serverを構築できる性能、
Nutanix CEの場合なら仮想マシン数台が構築できる性能を想定します。
(3)ハイグレードの場合
ハイグレード性能の場合、1台のWindows Server上でHyper-Vを2台構築し、さらにその上のHyper-V2台で仮想マシンを数台構築できる性能、
VMware ESXiなら、vCenter Server構築の上、複数台のESXiを多重仮想化(Nested)で動かし、かつ複数台のESXi上に仮想マシンを構築できる性能、
Nutanix CEの場合なら仮想マシン10台くらい構築できる性能を想定します。
2.OS検証やら仮想化環境に必要な性能を満たすPCはどういうものがあるか
要求性能と仮想化するときのミニマム、ミドル、ハイグレード性能をとりあえず定義したので、
それぞれの場合で性能的にどれくらいなのかを表にまとめてみます。
項目 | ミニマム性能 | ミドル性能 | ハイグレード性能 |
CPUコア数 | 4コア程度(HyperThread有効で8スレッド程度) | 4コア以上6コア以下 (HyperThread有効で8~12スレッド程度) |
8コア以上16コア以下程度 (HyperThread有効で16~32スレッド程度) |
メモリ搭載量 | 16GB | 24GB~40GB程度 | 64GB以上192GB以下程度 |
ストレージ搭載量 | SSD250GB程度 持ち歩く場合500GB程度 Nutanixの場合は上記+HDD500GB |
SSD250GB 持ち歩く場合1TB推奨 Nutanixの場合は上記+HDD500GB NASを利用しない場合1TB推奨 |
SSD500GB Nutanixの場合は上記+HDD500GB NASを利用しない場合1TB以上、 可能であれば仮想基盤OS向け、仮想マシン機向けとストレージ2本以上搭載を推奨 |
ネットワーク | 1Gbps以上のNWカード
(推奨はIntel NIC) |
1Gbps以上のNWカード
(推奨はIntel NIC) |
1Gbps以上のNWカード
(推奨はIntel NICまたはBroadcomNIC) |
合わせてほしい物 | 外付けHDD/SSDによる拡張 ただし持ち歩きする場合非推奨 |
ネットワークストレージ(NAS)実容量500GB~2TB程度 外付けHDD/SSDによる拡張 ただし持ち歩きする場合非推奨 |
ネットワークストレージ(NAS)実容量2TB以上、RAID5またはRAID6で構築、可能ならHDDではなくSSD構築 |
今回は、特に入手が容易になっているノートPCで満たすスペックを考えてみます。
パソコン工房のモバイル向けCPU比較サイトを参照しております。
- ミニマム性能の場合、Intel製CPUのノートPCであれば(Nutanixはとりあえず目をつぶりつつ)性能はまだ何とかなるかなと考えます。
例えば、第8世代Core i5搭載、メモリが自分で換装可能または8GB~16GB搭載済み、ストレージSSD 250GB~500GB程度、NWカードはUSBで増設できれば、満たすかなと考えられます。
外付けHDD/SSDによる別ストレージでの仮想マシン保存領域追加もありですが、接触不良で認識しなくなる場合もあるため持ち歩く場合は非推奨と考えます - ミドル性能となると、Intel製CPUのノートPCなら、第8世代~第11世代Core i5以上から、第10世代、11世代ゲーミングPC用途向けのH、HKと表記されたCPUが対象となります。
メモリ搭載量としては第8世代Coreでも最大32GB搭載できる仕様ですが、メーカにより異なるため確認が必要となります。
メモリ8GB内臓、メモリスロット1つありで16GB搭載可能なものなどがFujitsuから出ております。
素直に考えれば、32GB搭載品、または搭載可能なようにメモリスロットが存在するモデルを検討したほうが良いですね。
ストレージについては250GB、持ち歩きの場合は1TBとさせていただきましたが、SSD500GB程度が中心になるかと思われます。
必要に応じて、NASを導入して仮想マシン保存領域を共有し、仮想マシンのストレージとして利用するほうが仮想環境検証用PCのストレージは最小限で済むかと思われます。
また、NAS運用を推奨しております。検証用PC1台で全部済む形にはなりませんが、仮想基盤上に仮想基盤を構築した場合の共有ストレージ領域を整備しやすい利点があるためです。
NAS導入できない場合は外付けHDD/SSDによる拡張を検討ください。 - ハイグレード性能を持つノートPCは、第11世代Core i7 HシリーズのCPU、第12世代以降のPerformance(P)コア、Effective(E)コア搭載品で満たせますが・・PコアとEコアで性能が異なる点、
PコアしかHTに対応していないという点もあり、仮想基盤上で動作させることも可能かもしれませんが、性能が統一されているAMD製ノート向けCPUのほうがいいかもしれません。
また、このクラスの性能を持つPCを手に入れるのにはノートPCだと性能が高いためそもそも調達金額が高くなりすぎますので、デスクトップPCなどで検討したほうがいいかもしれません。
メモリについても64GB以上とさせていただきましたが、上位の192GBまでを満たす性能は中古のワークステーションクラスになるため、現実的には64GB、96GBくらいになりそうな気がします。
ストレージについては、NASに保存することを前提としているためミドル性能と要求性能は変えておりません。
また、NAS運用を推奨しております。検証用PC1台で全部済む形にはなりませんが、仮想基盤上に仮想基盤を構築した場合の共有ストレージ領域を整備しやすい利点があるためです。
なお、私の自宅で運用中の仮想環境は2台あり、性能としてはミドルグレード1台、ハイグレード1台ですが、
メモリだけは双方とも64GBとして可能な限り仮想マシンにメモリを割り当てできるようにしております。
また、ストレージについてはNAS運用を前提としており、仮想基盤としてのストレージ容量は250GB程度にしております。
もし、オンプレ検証環境を構築する場合は、ミニマム性能・ミドル性能あたりの性能の中古PCあたりでお安くそろえてみることをお勧めします。
皆さんも検証環境の調達をご検討くださいませ。